あり方そのものが問われる日本医療

医療格差は、医療におけるサービスを受ける場合において派生するさまざまな格差や違いなどを意味する。
都会に病院などの医療機関が集中し、地方で満足な医療が受けられなくなるといった地域による格差や、高額所得者しか高度な医療サービスが受けられないという経済的な格差がある。
現状では健康保険制度などによって医療における格差はやや抑制されているが、今後の規制緩和などからまだまだ格差が広がることが予想される。利用者の負担する金額だけが増えてしまい、利用者が受けられるサービスには大きな格差が生まれるといわれている。
地域における格差は深刻な状態で、医師の在籍数にはエリアによってバラツキがあり、医師や診療所などの医療機関の配置を見直す必要がある。
地方での救急医療に対する格差も問題視されており、今後一層の高齢化社会を迎えるにおいて、何らかのアクションを行わなければならない。
もしTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に政府が正式に参加すると、日本での病院経営に外国資本が参入してくると考えられる。優秀な外国人の医師や看護師を受け入れることによって高額な報酬を支払うことになり、利用者の医療費の負担が増える可能性がある。
また、医薬品の価格制度などが崩壊する恐れもある。医療関係全体の市場が変わってしまい、大型のドラッグストアは生き残れても地方にある小さな薬局などは生き残れるのかどうかも懸念されている。
医療技術の発展に貢献するだけではなく、医療のあり方も問われる時代である。